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ミニゲームの屋台が並ぶ「あそび横丁」と、エージェントに足してもらう仕組み

ログインなし・インストールなしでブラウザですぐ遊べるミニゲーム集「あそび横丁」を公開しました。どんなゲームがあるか、4 日足らずで 20 本になった作り方、エージェントに渡している仕様のこと、やってみてわかったことを書きます。

あそび横丁は、ブラウザですぐ遊べるミニゲームを 1 軒ずつ出していく「横丁」です。ログインもインストールもいりません。記録はサーバーに送らず、遊んだ人のブラウザにだけ残ります。

asobi.enludus.com で遊べます。この記事は 20 本目までで書いていて、そのあとも増え続けています(2026-10-20 には 21 本目の「ペン回し」が出ました)。

先に書いておくと、ゲームのコードを書いているのは自分ではなく、コーディングエージェントです。自分がやっているのは、何を作るかを選ぶこと、守ってほしい仕様を書くこと、出す前に何を確かめるかを決めることです。この記事では、どんなゲームがあるのかと、その作り方を書きます。

どんなゲームがあるか

題材は、おみくじ、だるまさんがころんだ、けん玉、輪投げ、竹とんぼのような、日本の遊びや暮らしの中の小さな動作です。いくつか、遊び方を具体的に書きます。

にぎり積み

いちばん最初の 1 本です。画面の上で箸が左右に揺れていて、タップするとお寿司が 1 貫落ちます。皿の上にどこまで高く積めるか。1 貫でも皿から落ちたらおしまいです。積むほど箸の揺れが速くなります。お寿司は物理エンジンの上の「物」なので、少しずれて置くと、次の 1 貫でじわっと傾いていきます。

にぎり積みのプレイ画面。揺れる箸の下で、皿の上にお寿司が10貫まっすぐ積み上がっている
にぎり積み。10 貫目を積んだところ

ボトルフリップ

水が少し入ったペットボトルを、下に引いてから上へシュッとはじいて 1 回転させ、机やイスの上に立てます。失敗するまで何回連続で立つか。中の水はボトルの中だけを動ける重りとして計算していて、着地の勢いを水がしずめてくれます。最初の数回は回転を少し手助けしていて、成功するたびに手助けが弱くなり、7 回目以降はほぼ自分の腕だけになります。

ボトルフリップ。1 本目が机の上に立つまで(6 秒)

だるま落とし

木づちを横にシュッとスワイプして、だるまの胴を下から 1 段ずつ打ち抜きます。頭を落とさず何段ぬけるか。だるまも胴も木づちも物理エンジンの剛体で、振りの速さ・高さ・角度しだいで、スコーンと抜けたり、上の段まで引きずってずれたりします。抜くたびに上へ新しい胴が足されて、続けるほど胴が薄くなり、重い段やすべる段も混じってきます。

輪投げ

夜の縁日の屋台です。輪を下へ引っぱって離すと、ふわっと飛びます。引く長さが強さ、引く左右が向きで、くるっと曲げて引くと輪が回って安定します。外すまで何本連続で入るか。入れた棒の景品がもらえて、12 種の景品図鑑がそろっていきます。ふちに当たって弾かれる、棒の頭に乗っかる、くるっと回って抜ける、が全部物理の結果として起きます。

輪投げのプレイ画面。夜の縁日の屋台で、番号つきの棒に色とりどりの輪が掛かり、景品が並んでいる
輪投げ。6 本連続で入ったところ

皿回し

寄席の舞台で、棒の先の皿を回し続けます。皿の下で指をくるくる回すと棒の先が円を描いて回転が上がり、遅くなると皿がぐらぐらと首を振りはじめます。皿は時間とともに増えていきます。何枚を何秒もたせられるか。

皿回しのプレイ画面。寄席の舞台で、2本の棒の先で皿が回っている
皿回し。2 枚目が加わったところ

雪だるま転がし

雪の坂で雪玉を押して転がし、どこまで大きくできるか。新雪の上では早く育ち、踏み固めた道や土の出た所では育ちません。大きく重くなるほど曲がらず、坂で勝手に転がり出し、石や柵にぶつかると割れやすくなります。最後に頭をのせて雪だるまが完成します。

ほかにも、長押しでカップ麺のお湯を線ぴったりに注ぐ「お湯ぴったり」、数字が最初の 3 秒しか見えないストップウォッチを 10.00 秒で止める「ぴったり 10 秒」、ブランコをこいで靴を蹴り出す「靴飛ばし」、石を選んでサイドスローで投げる「水切り」などがあります。

4 日足らずで 20 本

1 本目の「にぎり積み」を出したのが 10 月 16 日で、20 本目の「雪だるま転がし」まで、コミットの時刻で数えて 80 時間あまりでした。

最初の 11 本は、エージェントとやりとりしながら作りました。この間に、出したあとで作り直したゲームがいくつかあります。たとえば「ハンガーキャッチ」は、公開してから 15 時間ほどのあいだに、カメラの位置とルールを変え、耳に痛い金属音をやめ、成功の判定を厳しくして、4 回直しています。「たこ焼き返し」も、時間制限つきのゲームから「一舟をじっくり 3D で作る」ゲームに作り直し、さらに生地を液体として流す作りに変えました。

10 月 18 日に、それまでの作業で決めてきたことを、手順・共通仕様・作るものの候補リストとしてリポジトリにまとめました。それ以降の 12〜20 本目は、定期実行で足しています。13 本目からは、コミットの間隔がおよそ 4〜5 時間です。

1 回の定期実行でやることは、だいたい次のとおりです。

  1. 候補リストの、まだ作っていないものから 1 つ選ぶ
  2. エージェントに共通仕様と題材を渡して、ゲームを作らせる
  3. ブラウザを自動で操作して実際に遊び、エラーが出ないか、記録が残るか、見た目がおかしくないかを確かめる
  4. シェア用のカード画像と、一覧に並べるサムネイルを撮る
  5. 一覧のページに 1 件足し、壊れていないか構文を確かめる
  6. 公開して、本番のページで表示を確かめる

途中のものが公開されないように、作りかけのゲームは Git に入らないようにしてから作り始めます。コミットはどれも、エージェントが共同作者として記録されています。

仕様に書いていること

エージェントに渡す共通仕様には、形式的なこと(1 ファイルで完結させる、スマホ縦持ちを最優先にする、記録はブラウザにだけ保存する)と、遊び心地についてのことを書いています。遊び心地のほうから、いくつか抜き出します。

  • 結果が出たら、画面のどこをタップしても即もう一回。 ロードや演出で待たせない。ただし結果が出た直後の 0.4 秒だけは、誤タップを防ぐために無視する。
  • タイトル画面は、最初から遊べる状態に見えること。 背景にゲームの画面を出して、1 タップで始まる。
  • ハイスコアを目指せる形に限る。 「ミスしなかったら続く」か「1 回勝負でどこまでいけたか」のどちらか。
  • 当たり判定・成功判定は物理の結果で決める。 「点が通ったら成功」のようなズルはしない。
  • 1 回目は誰でもそこそこ成功し、だんだん難しくなるカーブにする。 ボットや物理シミュレーションで成功率を測って報告する。
  • 耳に痛い高音(2kHz 以上のノイズや高い音の連打)は使わない。
  • 紫のグラデーション、ネオン、絵文字の多用のような、AI っぽい定番の見た目は避ける。

後半のいくつかは、最初の 11 本を作っていたときの直しがもとになっています。ハンガーキャッチの金属音は 2〜5kHz の音だったので、低めの「コトッ」「カタン」に変えました。成功の判定も、最初は「カギの内側に竿が 0.7 秒入っていたら」だったのを、「竿の周りをくるくる回っている間や、すべって落ちる途中は成功にしない。ぶら下がって落ち着いたら成功」に直しています。こういう直しを 1 本ずつ伝えるのではなく、ルールとして仕様に書いておくと、そのあとの全部のゲームに効きます。

物理で判定する、ということ

「判定は物理の結果で決める」は、仕様の中でいちばん効いている 1 行だと思っています。

輪投げなら、輪が止まったときに、棒の軸が輪の内側を通っているかどうかで決めます。輪の中心が棒に近いから成功、ではありません。けん玉なら、玉が皿のふちの内側で、皿と同じ速さになって止まっている状態が少し続いたら成功です。当たっただけでは成功にしません。

こうすると、作る側が「惜しい」を用意しなくても、惜しい場面が勝手に生まれます。輪がふちに当たって弾かれる。棒の頭に乗っかったまま止まる。玉が皿の中で跳ねて、こぼれる。どれも誰かが演出として書いたものではなく、計算の結果として起きています。

その代わり、難しさの調整は数字でやる必要があります。靴飛ばしでは、初めての人でも 5m 以上飛ぶように、ブランコの最初の振れ幅を 20° から 40° に広げました。ボットに遊ばせて測ると、5m に届かない割合が 37% から 18% に下がっています。ハンガーキャッチは逆で、最初はど真ん中を狙えば 4〜7 割入ってしまったので、投げるときのブレを大きくして 2〜3 割まで下げました。

やってみてわかったこと

速く作れるようになると、「何を確かめるか」を書くことが仕事の中心になる。 1 本ずつ自分の目で全部を見ることはできないので、仕様と、出す前のチェックの手順に、気をつけてほしいことを書いておくしかありません。一覧ページが構文エラーで丸ごと表示されなくなったことが一度あり、いまの手順では、一覧に 1 件足すたびに構文チェックを通しています。

ルールは、失敗のあとに 1 行ずつ増える。 高音を使わない、判定は物理で、1 回目は誰でも成功、どれも最初から思いついていたわけではありません。直したことをその場で終わらせず、次の 1 本にも効く形で書き残すのが大事でした。

「ちょうどいい難しさ」は、遊んだ感想だけでは決めにくい。 ボットに何百回も投げさせて成功率を出すと、「もう少し簡単に」が「5m 未満を 2 割以下に」になります。数字になると、直したかどうかも確かめられます。

これから

屋台は、これからも同じ手順で足していきます。候補リストは 2026-10-24 に 30 本足しました。そこからも順に出していて、風車まわし・お手玉・ところてん突き・傘まわし・打ち水が出ています。屋台は、これからも同じ手順で足していきます。

ちょっとした待ち時間に、あそび横丁 をのぞいてみてください。


リポジトリの構成、three.js・Rapier・matter.js の使い分けと判定のコード、ゲームごとの重さ、シェア画像の作り方、定期実行の手順と関門、壊れたところとその見つけ方は、技術編の「あそび横丁の中身」に書いています。

更新(2026-10-20)

この記事で「残っている」と書いた 3 本に金魚すくいを加えた 4 本が出て、24 本になりました。

  • ペン回し:放課後の机で、弾いて一周させて親指で受けます。落とさず何回連続で決められるか。支点のまわりの剛体と親指のばね壁を、自前で計算しています。
  • 積み木抜き:こたつの上の木の塔から 1 本ずつ押し出して、いちばん上に積みます。崩さず何本積み替えられるか。
  • 缶つみ:駄菓子屋の前で、揺れて来る空き缶を離して積みます。崩さず何 cm・何個積めるか。
  • 金魚すくい:夜店の水槽で、ポイ 1 本が破れるまでに何匹すくえるか。水の抵抗・紙の濡れ・金魚の群れを自前で計算しています。

積み木抜きと缶つみは Rapier の剛体物理で判定しています。

更新(2026-10-22)

候補リストにあったコマ回しとメンコに、竹馬・おはじき・凧あげを加えた 5 本が出て、29 本になりました。物理は 5 本とも自前で計算しています。

  • コマ回し:庭の台で、スワイプで木ごまを投げて、何秒回り続けるか。歳差・起き上がり・摩擦を、自前の剛体計算で扱っています。
  • メンコ:夕方の路地で、叩きつけた風で相手のメンコを何枚続けて返せるか。風圧と薄い板の剛体を計算しています。
  • 竹馬:夕方の田舎道を竹馬で、転ばずに何歩歩けるか。倒立振子と竹の先の接地を計算しています。
  • おはじき:ちゃぶ台の上で、はじいて当てたおはじきを取ります。外すまで何個取れるか。円盤の衝突と摩擦を計算しています。
  • 凧あげ:正月の河川敷で、糸をたぐって出して、凧をどこまで高く上げられるか。平板の揚力・糸の張力・突風を計算しています。

候補リストの残りだったヨーヨー・石積み・羽根つきに、紙相撲とビー玉転がしを加えた 5 本が続けて出て、34 本になりました(2026-10-21〜22)。

  • ヨーヨー:駄菓子屋の前で、投げて伸びきったら引く「上下」を何回連続できるか。ひもと回転・ねじれを自前で計算しています。
  • 石積み:夕方の河原で、形のばらばらな石をそっと積みます。崩さず何個・何 cm 積めるか。Rapier の剛体物理で判定しています。
  • 羽根つき:お正月の門前で、羽子板で羽根を打ち合います。落とさず何回つづくか。羽根の空気抵抗と板の衝突を自前で計算しています。
  • 紙相撲:菓子箱の土俵をトントン叩いて、紙の力士を押し出します。何番勝ち抜けるか。板の振動と脚の摩擦を自前で計算しています。
  • ビー玉転がし:木の板を傾けてビー玉を転がし、穴に落とさずどこまで進めるか。球の転がり・壁・穴の縁を自前で計算しています。

候補リストの残りがなくなったので、上の「これから」の文を直しています。リストには「縄跳び」が新しく足されています。

更新(2026-10-23)

さらに 5 本が出て、39 本になりました(2026-10-22〜23)。

  • 長縄跳び:夕方の校庭で、回る長縄を引っかからずに何回跳べるか。縄は質点とばねの鎖を自前で計算しています。
  • 将棋倒し:縁側の和室で、駒を 1 枚ずつ立てて並べ、押して何枚倒し切れるか。Rapier の剛体物理で判定しています。
  • 雪合戦:雪の校庭で、かげから顔を出す子に雪玉を投げます。3 回外すまでに何回当てるか。放物線と風・当たり判定を自前で計算しています。
  • 鉛筆ころがし:放課後の教室で、鉛筆をはじいて机の端ぎりぎりに止めます。落とさず何本・何点か。六角柱の転がりを自前で計算しています。
  • 水風船キャッチ:夏の庭で、水風船を手を引いて受け止め、投げ返します。割らずに何回つづくか。膜と水の揺れ・張力を自前で計算しています。

候補リストの残りは、風車まわしとお手玉です。上の「これから」の文を直しています。

更新(2026-10-25)

さらに 5 本が出て、44 本になりました(2026-10-23〜24)。5 本とも物理は自前で計算しています。

  • 風車まわし:菜の花の土手を走って、紙の風車を何秒回し続けられるか。見かけの風と回転・息を計算しています。
  • お手玉:縁側で、左右の手でお手玉を投げて受けます。落とさず何回つづくか。2 つから始めて 3 つになります。布袋と手のひらの接触を計算しています。
  • ところてん突き:夏の縁台で、天突きで押し出したところてんを器へ。こぼさず何杯盛れるか。やわらかい紐の束を計算しています。
  • 傘まわし:寄席の太神楽で、回る和傘の上で毬を落とさず何秒。回転面を転がる球とジャイロを計算しています。
  • 打ち水:夏の路地で、通る人にかけずに石畳へ水をまきます。何 m 冷やせるか。水滴の粒子と、濡れ・乾きを計算しています。

候補リストには 30 本を足してあるので、このあとも同じ手順で出していきます。上の「これから」の文を直しています。